物が二つに見えます(複視)。「複視」は、治りますか?
「複視」は、眼を動かす筋肉(外眼筋)に炎症を起こし、筋肉が肥大したり、筋肉の周りに硬い組織がまとわりつき、外眼筋の動きが悪くなり、左右の眼が同じように動かなくなっている状態です。
「ステロイド治療」や「放射線照射」により、炎症が落ち着いて「複視」がよくなる方もいますが、筋肉の周りに硬い組織がついている場合は、「複視」が残存します。
「複視」があるからといって、必ず手術が必要ではありません。
ご本人が、そのままで不自由がなければ、手術をせずに、経過をみることになります。
不自由が強い場合には、手術治療が必要になります。
手術治療は、「外眼筋」が眼球に付着している部分の位置をずらすことにより、眼の動きを改善します。手術後に「複視」がなくなる方もいますが、眼の動きを完全に元に戻すことができない場合もあります。
「複視」に対する治療の目標は、普段よく使う部分、正面とやや下方の物を読む領域で、「複視」をなくすことになります。
そのため、上方や左右の周辺の方では「複視」が残ることがあります。
周辺部の「複視」に対しては、眼だけでなく、顔を向けて物を見ることで対応していくことになります。